特定非営利活動法人
国際生命科学研究機構

特定非営利活動法人 国際生命科学研究機構(ILSI Japan)は1981年に設立され、ILSIの一員として世界的な活動の一翼を担うとともに、日本独自の問題にも積極的に取り組んでいます。

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最近の活動
   


第3回「栄養強化米の開発と市場導入のための多国間コンソーシアム会議」開催

       2016年12月15-16日、インド・ニューデリー市でILSI Japan CHPとILSI-Indiaの共催による「第三回栄養強化米の開発と市場導入のための多国間コンソーシアム会議」を開催しました。 このコンソーシアム会議は、2014年にILSI Japan CHPにより設立され、今回はフィリピン、ベトナム、インドの学術・研究機関、日本企業、ILSI-IndiaおよびILSI Japanから20余名の参加があり、下記の内容で行いました。
 (1)これまでのコンソーシアム会議の成果と今後の方向性 (2)インドにおける微量栄養素の欠乏と政府の施策 (3)フィリピンにおける鉄強化米の市場導入の拡大 (4)ベトナムにおける鉄および亜鉛強化米の市場導入試験に関する中間報告 (5)リジン強化の意義について生理学的な観点からの考察 (6)フィリピンの食事摂取量調査結果からフィリピンにおけるリジン摂取量の解析方法および中間報告 (7)インドの食事摂取量調査結果から貧困層集団におけるリジン欠乏の実際とその対策(米、小麦等の主要な食糧へのリジン強化) (8)アフリカにおける強化米プロジェクトの導入可能性についての報告 (9)日本政府の官民連携栄養改善プロジェクトの紹介
 次回のコンソーシアム会議は、2017年に開催予定です。

     
       
       
       
     
     
       
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これまでの活動
     フィリピン国立食品栄養研究所(Food and Nutrition Research Institute(FNRI))と共同で、主食である米に着目し鉄分を強化 する研究を進めてきました。硫酸第一鉄あるいは微細ピロリン酸第二鉄(SunActive)をイクストルーダ法(米粉に鉄分を混ぜ、 米の形に成型する方法)により製造した鉄強化米において、貧血改善効果があることが実証されました。この鉄強化米を1 年間 パタアン州オリオン行政区でテスト導入し評価したところ、啓発・教育プログラムにより、消費者の鉄強化米の理解度・普及度 が向上し、貧血症の罹患率の改善が認められました。
 カンボジアのNGO RACHA(Reproductive and Child Health Alliance)と共同で、魚醤・醤油の鉄強化の導入・普及を進 めています。カンポット市およびシェムリアップ市で導入され、普及活動を行いました。その結果、鉄強化魚醤・醤油を日常的 に摂取することで貧血症を顕著に改善できることが証明され、更に、鉄強化製品の品質保証システムと啓発活動の効果も確認で きました。鉄剤のキレート鉄(NaFeEDTA)はAkzo Nobel 株式会社から無償提供を受けています。
 ベトナムでは、ベトナム国立栄養研究所(National Institute of Nutrition(NIN))の主導により、貧血予防のための鉄 (NaFeEDTA)強化魚醤プログラムを国策として進めています。現在、約10 工場にて鉄強化魚醤を製造・販売しています。さ らに、フィリピンで確立された鉄強化米の技術を活かし、ベトナムでも鉄強化米による貧血改善効果に関する介入研究を実施し、 有効性を実証しました。
 中国では、ILSI Focal Point in China、中国疾病予防センター(CDC China)が、2004 年春から鉄(NaFeEDTA)強化醤油 プログラムを国策として進めています。
     
  ベトナム
パートナー: ベトナム国立栄養研究所 
        National Institute of Nutrition (NIN)
   
魚醤への鉄分強化
     
実行可能性調査 (1997年-1998年)

ベトナムにおいて、貧血者の割合は非常に高く、特に5歳未満の子供及び妊婦においては40〜50%の人々が貧血であることが報告されました(貧血及び栄養状態に関わるリスクファクター全国調査(1995年))。また、魚醤の消費量調査から、ベトナム国民の80%以上が、商業生産されている魚醤を日常的に消費していることが分かりました。さらに、NaFeEDTAという鉄分は、味、色、香りの点で魚醤への添加に適していることが確認されました。

保存・安定性試験、味覚試験 (1999年)
保存・安定性試験の結果、鉄分を加えることで、魚醤の色が若干黒くなりますが、この色の変化は魚醤の自然分解過程で起こる色の変化内であることが確認されました。また、この自然分解を遅らせるために、魚醤を褐色瓶に保存する、もしくは透明の瓶に保存し直接日光の当たらない場所に保存することが推奨されました (1)。さらに、鉄分の体内吸収性を確認する臨床試験により、日常的な鉄強化魚醤の摂取が体内の鉄分レベルを高めることが証明されました (2)。さらに、85人のベトナム人女性を対象に行った味覚試験の結果、鉄強化魚醤と普通の魚醤では、色、香り、味において有意な差がないことが確認されました。

臨床試験 (2000年4月-10月)
ベトナムのレッドリバーデルタ地域に在住する152人の貧血女性を対象に、無作為化比較試験を実施し、鉄強化魚醤の貧血改善に対する有効性を確認しました。試験の参加者は、6ヶ月間、週に6日、鉄強化魚醤(10mg鉄/10ml)もしくは普通の魚醤を昼食と共に食しました。その結果、鉄強化魚醤を摂取した女性は、ヘモグロビンとフェリチン濃度に上昇が認められました。この試験により、鉄強化魚醤の日常的な摂取は、体内の鉄分レベルを向上させ、貧血者の割合を減少させることが実証されました (3)

実証試験 (2001年-2003年)
ベトナムのレッドリバーデルタ地域にて、2ヶ所のコミューン(村)の全世帯(約14,000名) を対象に無作為化比較試験を行い、鉄強化魚醤の貧血改善に対する効果を確認しました。対象コミューンの全家族が、鉄強化魚醤(5mg鉄/10ml)もしくは普通の魚醤を18ヶ月間摂取しました。288名の女性を対象とした調査の結果、鉄強化魚醤の日常的な摂取により、ヘモグロビン値の上昇、貧血者の割合の減少が認められました (4)

国策としての実施 (2005年-2009年)
これまでに蓄積した研究成果が認められ、 GAIN (Global Alliance for Improved Nutrition) から基金を得て、ベトナム国立栄養研究所の主導のもと、貧血予防のための鉄強化魚醤プログラムが国策として進められました。この5年間のプログラムにより、10ヶ所の大手の魚醤工場が参加し、鉄強化魚醤の製造・販売を始めました。またこのプログラムは、製造・販売、品質管理、ソーシャルマーケティング/消費者教育、及びモニタリング・評価の分野から構成され、ILSI Japan CHPは技術面からプログラムの実施を支援しました。プログラムの終了時には、鉄強化魚醤の販売地域が拡がり、全国で575,000人以上が鉄強化魚醤を簡単に購入できるようになりました。

   
米への鉄分強化(微細ピロリン酸第二鉄(SunActive))




   
実行可能性調査 (2008年-2009年)

2000年の全国貧血・栄養リスクファクター調査の結果によると、未就学児の貧血割合は依然と高く34.1%、また女性全体では24.3%であることが報告されました。また、今回の調査により、ベトナムにおける主食は米であり、一人一日、約400gの米を消費していることが明らかになりました。

保存・安定性試験、味覚試験 (2010年)
To be up-dated

臨床試験 (2010年-2011年)
2010年5月から、フンイエン省の衣料品工場で働く250人(20-49歳)の女性を対象に、6ヶ月間の無作為化比較試験を実施し、鉄強化米の貧血改善に対する有効性を確認しました。試験の参加者は、鉄強化米(15mg鉄/150g)もしくは普通米を昼食と共に食しました。試験に利用したプレミックス米(鉄濃度を高く成型した米)は、フィリピンの食品栄養研究所でイクストルーダ法(米粉に鉄分を混ぜ、米の形に成型する方法)にて製造したものを用いました。生化学的な評価は、貧血に関連する指標の他、血中ビタミンA、亜鉛及び、セレンについても評価しました。その結果、鉄強化米の日常的な摂取は、貧血者の割合を有意に減少させ、ビタミンA及び亜鉛の吸収を助長することが実証されました。


  フィリピン
パートナー: 食品栄養研究所 
        Food and Nutrition Research Institute (FNRI)
    米への鉄分強化 (硫酸鉄及び微細ピロリン酸第二鉄(SunActive))
     
実行可能性調査 (2000年-2003年)

全国栄養調査(1998年)により、貧血者の割合は7~9歳の子供で35%、女性で36%、妊婦で51%であることが報告されました。また、フィリピンにおける主食は米であり、1日に3回米を食し、一人一日平均386gの米を消費していることが明らかになりました。

保存・安定性試験、味覚試験 (2003年-2004年)
この試験では、プレミックス米(鉄濃度を高く成型した米)、鉄強化米(プレミックス米と普通米を混合)、炊いた鉄強化米をさまざまなパッケージ素材で10ヶ月間保存し、安定性を調べました。その評価項目は、色、 食感、かさ密度、害虫の侵入、鉄含量、微生物、味覚の七つです。総合的な評価により、硫酸鉄、または微細ピロリン酸第二鉄(SunActive)をイクストルーダ法(米粉に鉄分を混ぜ、米の形に成型する方法)にて製造した鉄強化米が安定しており、味、色の変化が少ないことが確認できました。

臨床試験 (2004年)
フィリピンのメトロマニラに在住する180人の小学生6〜9歳を対象に、6ヶ月間の無作為化比較試験を実施し、鉄強化米の貧血改善に対する有効性を確認しました。試験に参加者した小学生は、3つのグループに分けられ、それぞれ硫酸鉄強化米、SunActive強化米、普通米を週に5日、昼食と共に食しました。その結果、どちらの鉄強化米の摂取も貧血者の割合を減少させることが実証されました (5)

実証試験 / 地域限定販売 (2008年4月-2009年5月)
バタアン州オリオン市(人口52,000人)において、鉄強化米の地域限定販売を実施しました。イクストルーダ法により6mg鉄(SunActive)/gを含むプレミックス米を日本で製造し、フィリピンの精米所にて普通米と1:200でブレンドし、3mg鉄/100gの鉄強化米を製造しました。鉄強化米は、通常の販売網を通して販売され、定期的に品質をチェックしました。また、鉄強化米と貧血に関する消費者教育も行いました。調査の結果、鉄強化米の入手可能性は高く、受容度も高いこと、さらに、貧血や鉄強化米の認知度も高いことが確認できました。この地域限定販売の結果、子供(6〜9歳) の貧血割合を著しく減少(17.5%から12.8%)させることが出来ました。また、この地域限定販売により、鉄強化米を商業的に広めるためには、自治体による政治的な支援、販売活動/消費者教育が重要な要素であることが示されました (6)



  カンボジア
パートナー:ラチャ (Reproductive and Child Health Alliance (RACHA))   
       強化食品委員会 (National sub-committee for food fortification
                                             (NSCFF))
   
魚醤、醤油への鉄分強化(NaFeEDTA)
     
実行可能性調査 (2004年)

2000年の人口動態保健調査(the Demographic Health Survey) により、貧血の割合は、子供において約57%、女性において約62%であることが報告されました。カンポット州で行われた調査により、62%の家族が毎日魚醤を使い、一家族一食当たり平均26mlの魚醤を消費していることが明らかになりました。よって、魚醤は、カンボジアにおいて高い貧血割合を削減するのに適した食材であると結論付けられました。

保存・安定性試験、味覚試験 (2004年)
日本で実施した保存・安定性試験により、特に川魚から製造された魚醤は琥珀色をしているため、鉄分を加えると若干黒くなることが観察されました。さらに、鉄強化魚醤、及び鉄強化醤油の味覚試験を、90人のカンボジア人を対象に実施したところ、醤油については、普通の醤油との違いは見られませんでした。魚醤については、色、味、香りにおいて、普通の魚醤よりも鉄強化魚醤の方が好まれる結果となりました。

臨床試験 (2005年1月−6月)
カンポット州に在住する140人の青少年6〜21歳を対象に、17週間の無作為化比較試験を実施し、鉄強化魚醤の貧血改善に対する有効性を確認しました。試験に参加者した青少年は、鉄強化魚醤(10mg鉄/10ml)もしくは、普通の魚醤を昼食と共に食しました。その結果、日常的な鉄強化魚醤の摂取は、青少年の体内の鉄分レベルを向上させることが実証されました (7)

実証試験 / 地域限定販売 (2007年-2009年)
カンポット州、シエムリアップ州、プノンペンにて、鉄強化魚醤及び鉄強化醤油の地域限定販売を2年間実施しました。各地域の魚醤・醤油工場は鉄強化用の設備を導入し、4mg 鉄/10mlの鉄強化魚醤、及び鉄強化醤油を製造し、通常の流通網により販売しました。品質は、州の研究所にて定期的にチェックしました。また、啓発活動及び健康教育は、RACHAのネットワークを通じて行いました。その結果、鉄強化魚醤油及び鉄強化醤油を消費した人達の貧血割合が減少し、貧血者の体内鉄の状況が改善することが示唆されました。

国策としての実施 (2010年から継続中)

2010年の7月に開催されたワークショップにて、鉄強化魚醤及び鉄強化醤油よるカンボジアの貧血罹患率削減戦略を継続・拡大するために必要な活動について、関係者間の合意形成を行いました。さらに2011年の3月には、Global Alliance for Improved Nutrition (GAIN)に提出した国策による鉄強化魚醤及び鉄強化醤油による貧血削減に関する提案書が受理されました。また、2011年11月には、魚醤・醤油工場経営者、政府の関係者を招いて、鉄強化魚醤及び鉄強化醤油プロジェクトに関するワークショップが開催されました。


  インド
パートナー: イルシー インディア(ILSI-India)
    小麦・米への鉄分、リジン強化





    実行可能性調査 (2012年)
To be up-dated

成果発表
1 
Fidler, et. al., Photostability of Sodium Iron Ethylenediaminetetraacetic Acid (NaFeEDTA) in Stored Fish Sauce and Soy Sauce, Journal of Food Science, Dec 2004, Volume 69, Issue 9, pages S380-S383.
2 
Fidler et. al., Iron absorption from fish sauce and soy sauce fortified with sodium iron EDTA, Am J Clin Nutr. 2003 Aug;78(2):274-278.
3 
Pham et. al., Regular consumption of NaFeEDTA-fortified fish sauce improves iron status and reduces the prevalence of anemia in anemic Vietnamese women, Am J Clin Nutr. Aug 2003, Vol. 78, No. 2, 284-290.
4 
Pham et. al., The Use of NaFeEDTA-Fortified Fish Sauce Is an Effective Tool for Controlling Iron Deficiency in Women of Childbearing Age in Rural Vietnam, J Nutr. 2005 Nov;135(11):2596-601.
5 
Angeles-Agdeppa et. al., Efficacy of iron-fortified rice in reducing anemia among schoolchildren in the Philippines, Int J Vitam Nutr Res. 2008 Mar;78(2):74-86.
6 
Angeles-Agdeppa et. al., Pilot-scale commercialization of iron-fortified rice: effects on anemia status, Food Nutr Bull. 2011 Mar;32(1):3-12.
7 
Longfils et. al., A comparative intervention trial on fish sauce fortified with NaFe-EDTA and FeSO4+citrate in iron deficiency anemic school children in Kampot, Cambodia, Asia Pac J Clin Nutr 2008;17 (2):250-257.




Project IDEAの活動に寄付、賛助及びご協力を
頂いている企業及び団体
    (五十音順)
    味の素株式会社
アクゾノーベル株式会社
Global Alliance for Improved Nutrition (GAIN)
財団法人 飯島記念食品科学振興財団
太陽化学株式会社
農林水産省
     
  サイエンティフィック アドバイザー
    東京大学大学院 医学系研究科 国際地域保健学教室 教授 神馬征峰           甲子園大学 栄養学部フードデザイン学科 准教授 中西由季子 
Prof. Sean Rynch, Department of Internal Medicine, Eastern Virginia Medical School
     
ILSI CHP Japanの活動は公衆衛生上の課題に対する社会貢献活動です。この活動をご支援いただいている関係各位に感謝いたします。
その他、ご関心をお持ちの多くの企業及び団体のご参加をお待ちしております。
   

 

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(2015年7月)

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